2019/04/12
*** 2日目 ***
【移動】終日南城滞在
【宿泊】朝陽の宿 涼風
今旅で4泊お世話になるお宿は、沖縄を感じられる美味しい朝ごはんが決め手で選びました。
今日の朝ごはんは紅茶煮豚をメインに、沖縄ならではの島野菜を使ったメニューのようです。
楽しみ!
日の出の時間は、06:10頃。
数時間前まで飲んでいたことも苦にならず、朝日と朝ごはんを楽しみに、目を覚ましました。
ちょっと雲があるものの、眩しい朝日。
『朝陽の宿』というお宿の冠通りです。
このまま一日、お天気に恵まれるといいなぁ。
おきなわ食材の朝ごはん
ダイニングルームの扉を開けると、既にお腹を刺激する美味しそうな匂いが漂っていました。
セッティングされているお箸セットは二人分。
お先にいただきます!
どのお料理も、とても丁寧に作られていることが実感できる、沁み渡るような美味しさです。
『朝陽の宿 涼風』は、沖縄県が認定する「おきなわ食材の店」に登録されているんですって。
沖縄県産の食材を積極的に活用し、その食材を使ったお料理の提供を通じて、県産食材の魅力を発信しています!という沖縄県のお墨付き。
お料理の下には、月桃の葉が敷かれています。
月桃の葉は、防腐・抗菌作用や乾燥を防ぐ作用があるので、とても重宝されているとこのと。
沖縄では「サンニン葉」「カーサバー」と呼ばれており、昔からおにぎりや沖縄伝統のお菓子であるムーチーを包むのに使われてきました。
とか、月桃の葉うんちくを語っていると、ようやく昨晩の彼女がダイニングルームにご登場。

かこね

彼女

かこね
デザートは大好きな
シークヮーサーの
ゼリーだよ!

彼女
シークヮーサーが
大好きだって
なんで知ってんの?
どうやら昨晩の会話は記憶にないご様子です。
二日酔いがしんどいという彼女は、食後はチェックアウトまでお部屋でゆっくり過ごすそう。
昨晩の時点では、夕方発の飛行機の時間まで、南部をドライブするって言っていたのですが。

彼女
と言い残し、お部屋に戻っていきました。
私も食後はお部屋でまったり過ごし、のんびり支度をしてから、お出かけすることにします。
言いつけ通り彼女のお部屋に声をかけて、出てきた彼女と、しばし別れを惜しみ合いました。

彼女

かこね

彼女

かこね
彼女に出会えたことも、『朝陽の宿 涼風』に泊まって良かったと思うことのひとつだなぁ。
斎場御嶽(せいふぁーうたき)
昨晩、今日の行先選びに思い悩んだ結果、久高島へ行こう!という気持ちに落ち着きました。
久高島は、琉球開闢の祖であるアマミキヨが降り立ったと伝わる「神の島」と呼ばれる場所。
ならば、その久高島を訪れる前に足を運んでおきたいと思いついたのが、琉球開闢の伝説で7つの聖域のひとつとされている斎場御嶽です。
久高島も斎場御嶽も、以前からその場所とその場所が持つ意味は聞き知ってはいたのですが、今まで一度も訪れたことがありませんでした。
なんとなく観光気分の浮かれた気持ちで訪れてはならない場所だと、勝手に思い込んでいて。
なのですが、昨年の11月に沖縄を訪れた際に、那覇空港へ向かう飛行機の中から久高島を見渡す機会があり、無性に訪れたくなったんです。
きっと、久高島に呼ばれているのかも!
と、また勝手に思い込むことにしました。
久高島を訪れる前に、まず斎場御嶽を訪れて、琉球の伝説や信仰をきちんと知っておきたい。
斎場御嶽は、お宿から車で15分の距離。
観光物産館『がんじゅう駅・南城』に車を停めて、そこで斎場御嶽の入場券を購入します。
すると、そこに斎場御嶽ガイドのポスターが。
土・日・祝日限定で、一時間毎に専門のガイドさんが斎場御嶽を案内してくれるんですって。
斎場御嶽に纏わる神話や琉球王国の歴史・信仰に纏わる精神文化の話をしてくれるとのこと。
が、今日は平日です。
残念ながら、定時ガイドはありません。
しょんぼりとガイド紹介のポスターを見ていると、券売所の方が「平日でも利用できる貸切の予約ガイドがある」と教えてくださいました。
タイミング良く、空いているガイドさんがいらっしゃっるので案内していただけるとのこと。
定時ガイドは300円/予約ガイドは2,000円とのことですが、斎場御嶽をより深く知ることができるのであれば、惜しむ金額ではありません。
10名まで同じ金額でガイドをしていただけるそうなので、複数人で訪れた際はお手頃ですね。
早速お願いをして、斎場御嶽へ向かいます。
券売所からゆるやかな坂道を歩くこと5分。
ここから先は、ガイドさんが約50分をかけて、一対一で斎場御嶽を案内してくださいました。
ガイドさん曰く、久高島へ上陸する前に斎場御嶽を参拝するのが正しい順序なのだそうです。
「斎場」とは、最高位という意味。
「御嶽」とは、沖縄ではよく見聞きする言葉ですが、琉球の神様が宿る場所とされており、琉球の信仰における祭祀を行う神聖な場所です。
沖縄全島に広く分布している御嶽の中でも、その最高位とされるのが斎場御嶽なんですって。
本来であれば、斎場御嶽を訪れるには、この坂を上がってくるのが正式な道順とのことです。
坂の途中には、ウローカーと呼ばれている泉があり、斎場御嶽の聖域内に入る前に、ウローカーの水で身を清めなければならないのだとか。
ウローは「うらんばる」という地名、カーは「水が湧き出している場所」という意味。
ウローカーは、斎場御嶽の一帯に浸み込んだ雨水が湧き出している神聖な場所なんですって。
ですが、この坂道は台風の影響で道が破壊されてしまったとのことで現在は立入禁止でした。
国道側から進む別な道があるものの、雑草が生い茂った険しい道なのだそうで、今回は断念。
斎場御嶽には6つの神域=イビがあり、香炉が置かれた拝所=ウガンジュは、今も島の方が日頃の祈りを捧げる神聖な場所となっています。
斎場御嶽の入口、御門口/ウジョウグチ。
香炉がある場所が、拝所。
拝所のある一帯が、神域。
この先は幾らか険しい山道となっているので、奥に進むことが困難な方は、御門口に設けられた6つの香炉を拝むことにより、斎場御嶽にある6つのイビを拝んだとことなるんですって。
奥に進む際は、御門口で手を合わせて、自分の名前・出身地・どこから来たのかを伝えます。
帰る際には、御門口で手を合わせて、感謝の気持ちとお礼を告げてから去るのだそうです。
御門口から望む海の向こうに、遠く久高島が。
よく見たら、写真に蝶が写り込んでいますね。
ツマベニチョウかな?
御門口の先は鬱蒼とした森の中を進みますが、順路に沿って作られている道には、久高島から運んだ石や砂が敷き詰められているとのこと。
ここは1つ目のイビ、大庫理/ウフグーイ。
大広間という意味だそうですが、かつては、ここで琉球王国の最高神女である聞得大君/キコエオオキミの儀式が行われていたんですって。
一段高くなっている場所に上がることが許されているのは、巫女である祝女/ノロだけです。
大庫理を回り込むように進んだ道の奥に、2つ目のイビである寄満/ユインチがありました。
寄満は台所という意味で火の神様/ヒヌカンを祀る場所ですが、ここは琉球王国時代に各国からの交易品が納められた場所だったようです。
その途中、道の脇に直径5m程の池が。
この池は、74年前の沖縄戦の際にアメリカの砲弾が撃ち込まれて出来た艦砲穴なんですって。
なんだろう、これ?
シキヨダユルとアマダユルの壺。
この場所が、3つ目・4つ目のイビです。
二本の鍾乳石の下に、石の先から滴り落ちる水を受け取る壺がありますが、中に溜まった水は神儀などで「聖水」として使われたとのこと。
奥にあるシキヨダユルは聞得大君用、手前にあるアマダユルは首里城の王子用の聖水だとか。
その先、5つ目のイビが三庫理/サングーイ。
斎場御嶽の中でも、最も有名な場所ですよね。
2つの大きな岩が絶妙なバランスを保って、支え合うように三角の空間を作り出しています。
とても気高い場所とされているそうで、この空間には、心地の良い風が吹き込んでいました。
この先には、斎場御嶽の中でも一番格の高い拝所とされている6つ目のイビ、チョウノハナ。
ここは、琉球開闢の祖・アマミキヨがクバの木を伝って降臨する場所だと伝えられています。
ここに立ち太陽が昇る方向を眺めると、草木の向こうに海が見え、その先に神の島・久高島。
久高島遥拝所と呼ばれており、久高島を越えたずっと先に、ニライカナイがあるんですって。
斎場御嶽は、琉球の歴史と信仰を感じることができる、神聖でとても素晴らしい場所でした。
今回は初めて訪れたので、専門のガイドさんに案内をしていただいて正解だったと思います。
時間に限りが出来てしまうものの、御嶽内をただ歩くだけでは知ることの出来なかった様々なことを聞き、興味深く学ぶことができました。
明日訪れる予定の久高島も、一人ではなく、専門のガイドさんに案内をしていただきたいな。
と思い、ガイドさんと世間話をしながら元来た道を戻っていると、なんと案内してくれたガイドさんは、久高島出身&久高島在住とのこと。
ガイドさんは『アマミキヨ浪漫の会』というガイド団体に所属していて、普段は斎場御嶽よりも、久高島を中心に活動をしているそうです。
なんておあつらえ向きな人材!

かこね
このまま明日は
久高島のガイドを
お願いしたいです!

ガイド
明日は久高島で
他の方の予約が
入ってるので・・・
すかさず明日のお願いをしてみたのですが、残念ながら明日は予約が入っているそうです。
本来は事前予約制のガイドさんですもんね。
今日が、たまたまラッキーだっただけかぁ。

ガイド
明日は久高島で
他の方の予約が
入ってるので・・・
いいですよ!

かこね

ガイド

かこね
久高島のガイド案内は斎場御嶽のように貸切ではなくて、相乗りのツアー方式なんですって。
なんておあつらえ向きなシステム!
他の方の予約が入っているので、このガイドさんの明日の予定が斎場御嶽ではなく久高島だと確定しているということで、むしろラッキー。
ガイドさんを通してガイド団体に明日の予約を入れていただいて、御礼を伝えて別れました。
わーい、これで明日の久高島行きが決定です。

駐車場へ戻る道の途中。
実際に歩いたことがあるわけではなくて、以前読んだ本の中に出てきた道だと気付きました。
沖縄を舞台にした大好きな小説なのですが、その中の一節に、斎場御嶽から続くこの道が、とても素敵なシーンとして描かれているんです。
そのことを思い出して、なんだか嬉しくなり、妙にふわふわした温かい気持ちになりました。
リゾートレストラン せいふぁー
建物の裏手には、海を眺める絶景のポジションに幸せの架け橋なるものが設置されています。
南城市は、「ハートのまち」なんですってね。
平成17年に、佐敷町・知念村・玉城村・大里村の4つの町村が合併して南城市になり、南城市を地図で見ると丁度ハートの形に見えるそう。
ハートのヒゲを生やした『なんじぃ』。
なんじぃは、南城市のゆるキャラです。
丸いフォルムとつぶらな目が可愛いくて、なんじぃ仕様のお茶類を色々買ってしまいました。
広い店内は、お昼時というのに空いていて、入店した時は私しかお客さんがいませんでした。
南城市の食材にこだわったお料理と眺める絶景が売りだとのことで、ここは穴場のお店かも。
窓に向かって設けられた、カウンターの席へ。
県産豚のソテーやおきなわ御膳、タコライスに沖縄そば等どれも美味しそうで迷いましたが、女子ぶってサラダディッシュをお願いします。
南城で採れたシャキシャキの野菜と、塩麹に漬けられた県産鶏がとっても美味しくて大満足。
店内に飾ってある、沖縄のポスターが素敵!
よく見ると、各市町村の名前で出来ています。
このポスターは、下のお店で売っているとのことなので、早速レストランを出て階下へ移動。
一階は観光物産館になっていて、南城市や沖縄に特化した品々が、たくさん並んでいました。
可愛いシーサーたち。
どの作品も、南城市に暮らすやちむん作家の方が手掛けている、手びねりの逸品だそうです。
素敵なやちむんの器たち。
これも同様に、南城市の作家さんによる逸品。
鮮やかな色に見惚れながら、上から順に眺めていた最後、左下のお皿に一目惚れをしました。
他のお皿とは一味違う、沖縄のイノーと沖のような青に惹かれて、即決で二枚をお買い上げ。
お皿や縁の形も、柄や青の色味も、一枚一枚異なっていて、独特の歪さも魅力的に感じます。
このお皿に、何を載せていただこうかな?
これからの使い方にワクワクしています。
そういえば、お皿に夢中になってしまい、当初の目的であった沖縄本島の市町村名ポスターを探すことを、すっかり忘れていました・・・。
知念岬公園
がんじゅう駅・南城のすぐお隣にある知念岬。
緑越しに広がる海の景色が、とても綺麗です。
所々にベンチが設けられており、そこからこの絶景をただ眺めているだけで心底癒されます。
お天気も良く、穏やかで長閑な昼下がり。
景色を眺めて、しばらくぼーっと過ごします。
カフェでのんびりするのも充実だろうし、南部をドライブするのも爽快だろうし、お宿に帰ってだらだらと過ごすのも有意義だろうしなぁ。
と考えていた私のところに、一人のオジーが。

オジー

かこね
景色を眺めていた私の隣に当たり前のように並んで、当たり前のように挨拶をしてきました。

オジー

かこね
当たり前のようにオジー語りが始まりました。
オジーはこの近くに住んでいて、日頃は朝からお昼まで畑仕事をして過ごしているそうです。
それが終わると、お天気と気分次第で知念岬を訪れ、ここで過ごすのが大好きなんですって。

オジー
しばらくオジー語りが続いたかと思えば、急に私への質問コーナーになり、愉快なやり取り。

オジー
斎場御嶽もあるし
ゴルフ場もあるし
魚と野菜もあるし
かと思えば突然、南城のご自慢を羅列します。
話はちょいちょい飛びますが、オジーが人と南城のことが大好きということは伝わりました。
15分くらいお話をした頃に、

オジー
オジーはどこかへ行ってしまいました。
「待ってて」って、言われたんだよね?
ジュースでも買ってきてくれるのかな?
図々しく勝手な想像を巡らせながらも、オジーの言い付けに従って、大人しく待ってみます。
が、数分待ってもオジーは戻ってきません。
「待ってて」って言われたよね?
だんだん不安になってきました。
ですがまぁ、もうしばらく景色を眺めながら待ってみて、来なきゃ来ないで移動しようかな。
オジーが去ってから、10分が経過。
そろそろ移動しようかと思い始めた頃、何かを手にしたオジーが、ようやく戻ってきました。

オジー

かこね
渡されたのは、ヘルメットです。
オジーの頭の上には、別のヘルメットが既にしっかりと装着されていました。

オジー

かこね
いちゃりばちょーでー!
地元のオジーとバイクでデート
どういうわけか、オジーは私をバイクで南城めぐりに連れて行ってくれる気満々のようです。
先程の10分間で、私用のヘルメットを取りに一旦お家へ帰り、再び戻ってきてくれたみたい。
私も人並みに警戒心を持ち合わせていますし、危険な人や危ないことには極力近寄りません。
どこか遠くへ拉致されたらどうしよう。
そこで置き去りにされたらどうしよう。
万一バイク事故にあったらどうしよう。
有り得ないけど襲われたらどうしよう。
拉致 隙を見て、飛び降りればOK!
置去 ヒッチハイクして帰ればOK!
事故 事故の心配はキリがないからOK!
襲撃 私の方が何倍も強そうだからOK!
何よりオジーの人と南城が大好きな気持ちは伝わりましたし、楽しそうな予感しかないので、オジーのバイクの後部に秒で飛び乗ります。
いちゃりばちょーでー!
一度出会ったら皆んな兄弟。
オジーのバイクで突発デートに出かけます。
ニライカナイの橋
オジーが運転するバイクは、知念岬公園を出発して、ニライカナイの橋を上がっていきます。
橋の上にある展望所から眺める景色も、最高!
この写真の左下にある青い屋根の建物の先が、オジーと出会った知念岬公園のある場所です。
海に浮かんでいる左側の大きな島が明日訪れる久高島、右側の小さな島が無人島のコマカ島。
久高島からこちらに進んでくる船も見えます。

オジー
絶景を背に、オジーの昔語りが始まりました。
今よりも沖縄と本州の行き来が難儀だった頃の話や、切符の買い方と電車の乗り方が分からなかったオジーが本州をひたすらバスと徒歩で移動をした話など、興味深いエピソードばかり。
そしてオジーのバイク。

オジー
上りよりも下りの方が、5,000倍くらい最高!
海に向かって、飛んでいるような感覚でした。
橋を下り切り知念岬へ戻るのかと思いきや、オジーのバイクは知念と反対の方向へ進みます。
これは遠くに拉致されたらどうしようのパターンかな?と思う間も無く、次の下車地に到着。
浜川御嶽と百名ビーチ
私が斎場御嶽と久高島に興味があると知ったオジーは、ここに連れてきたかったんですって。
この地は、アマミキヨがしばらく住んでいた場所だと伝えられている『浜川御嶽』とのこと。
『浜川』は「ハマガー」と読み、「海の傍の湧き水」という意味を指しているとのことです。
空気が澄んでいて、気持ちの良い場所でした。
琉球国王や琉球信仰の神女である聞得大君も、浜川御嶽を訪れて参拝したと言われています。
そこからカメラのレンズをズーム。
これは『ヤハラヅカサ』といって、琉球開闢の祖であるアマミキヨが久高島からやって来た際に、初上陸した場所を標しているんですって。
満潮時には海の中に沈んでしまうそうで、ヤハラヅカサを見ることが出来るのは干潮時のみ。
遠浅で波も穏やかな百名ビーチは、夏には海水浴やビーチパーティーの人で賑わうとのこと。
今はまだその時期には早いので、とても静かでのんびり過ごせる穴場ビーチの雰囲気でした。
あれ?気がつくと、オジーの姿がありません。
これは遠くに置き去りにされたらどうしようのパターンかな?と思う間も無く、オジー発見。
どうやら波打ち際で何かを探しているみたい。
と、思いながらオジーの元へ近付くと、

オジー

かこね

オジー
ヤドカリでした。
ヤドカリのことを「くり」って言うのかな?
と思ったのですが、どうやらオジーは「これ」と言うことを「くり」と言っているようです。
受水/走水と新原ビーチ

オジー

かこね

オジー
だって、ふりがなが書いてあるから読めます。
バイクを降りて、私が説明文を読んでいるうちに、オジーはどんどん先へ進んで行きます。
緩やかに流れているのが西側にある、受水。
ここが、琉球における稲作発祥の地とのこと。
アマミキヨがニライカナイから持ってきた稲の種を、受水・走水を使って育てたんですって。
これらは全てオジーに教えていただきました。
地元ということや畑仕事をしていることもありますが、オジーの知識に感心してしまいます。
ここもまた、空気が澄んでいて気持ちが良い。
オジーに出会っていなければ、ここの存在も知らず、ここを訪れることはなかっただろうな。
ここを訪れることがなければ、『受水走水』を「じゅすいそうすい」と読んだんだろうな。
まるで仕組まれたかのようなオジーとの出会いとこのデートの流れに、感謝しかありません。
この後は『新原ビーチ』に寄り道しました。
『新原』と書いて「ミーバル」と読みます。
ここは、オジーのお気に入りの場所とのこと。
道路沿いの小高くなったスペースから、新原ビーチを見渡すことの出来る絶景スポットです。
さて。
オジーとのバイクデートは、これにて終了。
かと思いきや・・・
大城てんぷら店

オジー
車は通ることができない海沿いのガタボコ道をバイクで進み、ちょっとしたアトラクション。
これは万一のバイク事故のパターンかな?と思う間も無く、橋を渡り『奥武島』に到着です。
『奥武島』と書いて「おうじま」と読みます。
久米島のお隣にも同じ名前の島がありますね。
こちらの奥武島は、周囲約1.7km、車やバイクであれば数分で島を一周できてしまいます。
沖縄本島と短い橋で繋がっており、オジーによると橋の袂に広がる海がとても綺麗とのこと。
やってきたのは、『大城てんぷら店』です。
奥武島といえば、沖縄てんぷらの聖地!
島内には、他にも『中本鮮魚てんぷら店』や『テルちゃん天ぷら』などの人気店がありますが、オジーの推しは『大城てんぷら店』。
店先には、数人の方が並んでいました。
遠慮はしたものの、オジーがご馳走すると言って利かず、有り難く甘えさせていただきます。
沖縄の天ぷらと言えば、フリッターのような厚い衣が特徴でウチナーソウルフードですよね。
いたる所で天ぷら屋さんを見かけますし、沖縄では「天ぷらはおやつ!」だと聞いています。
天ぷらの中身は、もずくやアーサ、お魚にイカにウムニーなど、沖縄ならではのものばかり。
ウムニーとは、田芋や紅芋を甘く煮て濾した、栗きんとんのお芋ヴァージョンのようなもの。
沖縄の言葉で『ウム』は「芋」、『ニー』は「煮る」という意味で、昔から手軽にウムニーを作っておやつとして食べていたんですって。

オジー

かこね
てんこ盛り!
一個か二個を気軽に食すイメージでいたのに。
しかも、オジー自身はイカの天ぷら一個を食べただけで、私に食べろ食べろと勧めてきます。
沖縄のオジーやオバーが、気前の良さやたくさん食べて欲しいという愛情から「かめーかめー(食べろ食べろ)」と言って、あれもこれも食べさせようと攻撃を仕掛けてくるというもの。
これはあり得なかったオジーの襲撃のパターンかな?と思う間も無く、天ぷらを頬張ります。
が、しかし。
魚を食べ、イカを食べ、ちくわを食べ、ウムニーを半分食べたところでギブアップしました。
残りの天ぷらは、持ち帰らせていただきます。
拉致も置き去りもバイク事故も心配をする必要はありませんでしたが、一番心配をしていなかったオジーの襲撃がリアルになるとは予想外。
私の方が断然強そうだから、オジーが何を仕掛けてきても大丈夫だと思っていたんだけどな。
恐るべし、カメーカメー攻撃。

オジー
また唐突に、オジー語りが始まりました。
飲みに行くと言うとオバーに怒られるけれど模合に行くと言えば怒られない話や、息子さんの結婚式に呼んだ200人の招待客中30人が二時間遅刻した話など、興味深いエピソードばかり。
沖縄の模合事情も結婚式の招待客の多さやウチナータイムも話は聞いたことがありましたが、盛った話ではなく、実際通りの話なんですね。
オジーも勿論、模合の集合時間にシャワーを浴び始めて、盛大な遅刻はあたり前だそうです。
さて。
オジーに出会った知念岬へ戻ってきました。
三時間に及んだ、オジーとのバイクデート。
「いちゃりばちょーでー」を実際に体感することが出来て、とても素敵で楽しい時間でした。
オジーと電話番号を交換し、握手を交わし、名残惜しくも、突発デートはこれにて終了です。
オジーには感謝しかありません。
そうそう。
オジー、オジーと書いてしまいましたが、実際はオジーの苗字にさん付けで呼んでいました。
沖縄の人だなぁと感じられる、素敵な苗字。
最近は、本州では聞くことのない沖縄ならではの苗字や沖縄の地名にも興味を持っています。
由来や謂れを調べてみると、きっと琉球の歴史や信仰に絡む話が出てきそうなので興味深い。
朝陽の宿 涼風の夜
昨晩の寝不足もありますし、お腹もいっぱいですし、今日はもうお宿でのんびりすることに。
テラスで一本やっつけて明るいうちにお風呂。
ハイビスカスのお風呂に入りながら、景色を眺めつつオリオンを飲むとか、これなんの贅沢!
お風呂上がりは、吹き抜けのテラスで夕涼み。
心地良い風を受けながら、夕暮れていく空を眺めつつオリオンを飲むとか、これなんの贅沢!
今日の宿泊客は、私一人だけなんですって。
昨晩の彼女との楽しかった時間が恋しいな。
夜ごはんはお部屋にて、オジーとのデートの帰り道に買い出ししてきたお刺身で済ませます。
沖縄三大高級魚のひとつ、マクブです。
知念の漁港に水揚げされたものですね。
産まれた時はどのマクブもメスで黄色い体をしていて、数年経って産卵をした後、どのマクブもオスに変わり体も青に変化するんですって。
そして、お持ち帰りをしてきた天ぷらの残り。
もずくとアーサです。
衣自体に味が付いているので、冷めていても美味しく、ビールのおつまりにピッタリでした。
今日はとても濃い一日だったなぁ。
午前に訪れた斎場御嶽も午後からのオジーとのバイクデートも、どれも印象深い思い出です。
楽しかった分だけ眠気が襲ってきました。
まだ21:00前ですが、今日はもう寝よう。
2日目、就寝。
前へ
かこねの沖縄旅行記 次へ